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『悲しみのイレーヌ』 ピエール・ルメートル 【あらすじ・感想】

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あらすじ

異様な手口で惨殺された二人の女。カミーユ・ヴェルーヴェン警部は部下たちと捜査を開始するが、やがて第二の事件が発生。カミーユは事件の恐るべき共通点を発見する……。『その女アレックス』の著者が放つミステリ賞4冠に輝く衝撃作。あまりに悪意に満ちた犯罪計画――あなたも犯人の悪意から逃れられない。 — 本書より引用

読書感想

読みどころ

  • 身長145センチの小柄ながら鋭い閃きと明晰な頭脳を持つかなり個性的な刑事カミーユが凶悪事件を解き明かす。
  • カミーユのみならずその部下たちもかなり個性的な面々であり彼とのやりとりがおもしろい。
  • 連続殺人の背景に潜む驚きの共通点、最終章でガツンとやられる。

『その女アレックス』の前章となる作品

本作は、日本でもベストセラーとなった『その女アレックス』(以降「アレックス」)著者のデビュー作であり、アレックスのひとつ前の物語という位置づけとなる。

第2作『その女アレックス』

『その女アレックス』ピエール・ルメートル【読書感想・あらすじ】

その女アレックス(ピエールルメートル)のあらすじと感想。おまえが死ぬのを見たい ――男はそう言ってアレックスを監禁した。檻に幽閉され、衰弱した彼女は、死を目前に脱出を図るが……しかし、ここまでは序章にすぎない。孤独な女アレックスの壮絶なる秘密が明かされるや、物語は大逆転を繰り返し

第3作『傷だらけのカミーユ』

『傷だらけのカミーユ』ピエール・ルメートル【読書感想・あらすじ】

傷だらけのカミーユ(ピエール・ルメートル)のあらすじと感想。第1作でドン底に落ち、第2作で復活を遂げたカミーユ警部に訪れる新たなる人選の苦難を描く物語。二度あることは三度ある、ミステリの醍醐味をふんだんに盛り込んだ本作においても終盤でガツンとやられる展開が待ち受ける。

タイトルにある「イレーヌ」というのは、アレックスの作中で本作の主人公カミーユ刑事の妻である。どういう命運をたどった人物かがすでに分かってしまっている状態だったのでやや楽しみは半減であった。だがそれを差し引いても十二分に楽しめる作品であったし、圧倒された。

カミーユと仲間たち

フランスミステリ作品というものに触れる機会がこれまでなかった。145センチというかなり小柄な体に皮肉とユーモアを備え、優れた操作能力でもって難事件に挑むカミーユという個性的な人物。そして彼にも負けず個性あふれる部下や上司が繰り広げる物語は魅力あふれるものであり、自然と知らないパリの街並みも目に浮かびなんの障害もなく物語へと没頭することができた。

このあたりはアレックスも同様であったが本作はカミーユが主人公であり、捜査チームの描写も多くこれだけで十分に楽しめる作品である。

しかし、本作の事件もまた強烈であり、本書の構成にも著者によるトラップが仕掛けられている。

小説の中の小説の中の小説

ズッタズタに引き裂かれ、切り分けられ、バラ撒かれた遺体。なにかを暗示するような遺留品。とんでもない殺人事件が冒頭で発生し、そこから過去に起きた異様な未解決事件とのつながりをカミーユは見つけ出す。

その共通点というのは、それぞれの事件が異なる殺人ミステリ小説の殺害現場を再現したもの。

カミーユたちが核心に迫るそのタイミングで、カミーユの妻であり表題にもある「イレーヌ」にかかわる最後の事件を予見する証拠が見つかる。

その証拠とは、ここまで読んできた物語はそういうことだったのか!!!と、度肝を抜かれる内容であった。

ヤラレタ!と思ったし、犯人に対し戦慄が走ったし、なんというかもう、何もかもが引っ繰り返るような。..。

最後までカミーユとともに犯人に翻弄され続ける快感を得ることができれば、本作品はこの上なく極上なミステリ小説となるだろう。

著者・訳者について

ピエール・ルメートル Pierre Lemaitre
1951年、パリに生まれる。教職を経て、2006年、カミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズ第1作Travail soigneでデビュー、同作でコニャック・ミステリ大賞ほか4つのミステリ賞を受賞した。本作『その女アレックス』はヴェルーヴェン・シリーズ第2作で、イギリス推理作家協会インターナショナル・ダガー賞を受賞。日本では「このミステリーがすごい!」「週刊文春ミステリーベスト10」ほか4つのミステリ・ランキングで1位となった。2013年、はじめて発表した文学作品Au revoir la-hautで、フランスを代表する文学賞ゴンクール賞を受賞する。 — 本書より引用

橘 明美(たちばな・あけみ)
1958(昭和33)年、東京生まれ。お茶の水女子大学文教育学部卒業。英語・フランス語翻訳家。訳書に、J・ディケール『ハリー・クバート事件』(東京創元社)、H・ボンド『ラカンの殺人現場案内』(太田出版)など。 — 本書より引用

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