M-1グランプリ2022 チャンピオン「ウエストランド」 【日記・備忘録】

2022/12/21
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Photo by : お笑いナタリー

爆笑問題が大好きなので、同じタイタン繋がりで毎週木曜更新のウエストランドのネットラジオ「ぶちラジ」を良く聴いていた。

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大ファンというわけではなかったが、昨今のコンプラやぺこぱ以降の「人を傷つけない笑い」の雰囲気に彼らはどうなるんだろうなと気になっていた。

ラジオを聞いていると、ネタ上の役割とは打って変わり、井口さんは極めて常識的であり、河本さんは人としてかなりヤバいことが分かる。

またネタも徐々に変化している。

以前はほとんどが井口さんの自虐が中心にあった。

そしてもう自分自身を消し去るほど自虐をやり尽くした今、彼らは結構な角度で世界を罵るまでに進化した。

今年に入ってから、河本さんはリフォームの仕事がメインとなり、井口さんはピンでテレビの仕事が忙しくなっている様子だった。

だが、ウエストランドの頭脳である井口さん、彼は以前より忙しくなった日常に押し流されることなくジッと世界を見ていたのだと思う。

定期的に欠かさず出続けたお笑いライブの劇場の雰囲気。

かつて若くして出演した笑っていいともの頃とは激変した令和のテレビ業界の様子。

積極的に発信を行っているネット上での反応。

そして生活の場でもある中央線沿線で生きる市井の人びとの空気すらも逃すことなく感じ取っていたのだと思う。

2年前のM-1、井口さんはネタ中で「こっちは無作為に傷つけるお笑いやってるんだよ!」「いいか、お笑いは今まで何もいいことが無かった奴の復讐劇なんだから!」と言い放った。

ラジオのジングルはその番組、ラジオパーソナリティの特徴を表現する。

彼らのネットラジオ「ぶちラジ」のジングルは「人の幸せって憎いじゃないっすか」「妬み、嫉み、僻み」をリピートする。

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魔女狩りのようなコンプラの嵐が吹き荒れるこの時代、たった一つのワード選択をミスっただけで芸人人生が終わるリスクがあるにも関わらず、彼らは、自分たちのアイデンティティであり強みでもある「ねたみ、そねみ、ひがみ」の純度100%ネタを引っ提げ、全力でアクセルを踏むことを決意したのだろう。

そして、目の前の観客、テレビの前の視聴者、そして審査員を笑いの渦に巻き込みM-1チャンピオンの称号を勝ち取った。

方々に文句を言い放つネタではある。

だが、彼は誰かを傷つけたいわけではない。

だただた、妬み、嫉み、僻んでいるのだ。

努力家である井口さんからすると、手っ取り早く少ない努力いやできればゼロ努力で人気やお金を稼ぐ方々がとにかく許せない。

ユーチューバー全員許せないではない。少なくはないショートカットして成功しちゃってるやつらが許せない。

コツコツお笑いやってりゃいいのにエモさで人気をブーストする芸人が許せない。

歌や踊りやトークを頑張ればいいのに他人の人気を利用しようとするアイドルが許せない。

逆に言えば努力する人々を尊敬しているのだろう。

そして本気で許せないわけではない。

技術と経験を駆使して何とかお笑いに昇華する努力を忘れないし、言葉は人を傷つけ傷つくものだということを自覚している。

またウエストランドのネタに限らず、どんな言葉であっても発した時点でどこかの誰かを傷つける可能性がある。ネガティブが人を傷つける可能性はもちろん、ポジティブな言葉であっても人は傷つく。言葉は曖昧である事物を限定する行為であるゆえに祝福にも呪いにもなり得ることを自覚しておきたい。

それよりなにより、大概のことは笑い飛ばせるぐらいの精神的・経済的な余裕ある暮らしをしたい。

何気ない言葉にピリピリせずに生きられる社会がほしい。

ハンデを抱えたり人と違うことがあたりまえの世界の訪れを心の底から願っている。

最後は脱線したけどウエストランドおめでとうございます。

そして、下から噛みつく立場からチャンピオンとなった今後、彼らを上回る妬み嫉み僻みを抱えた者たちにどう向き合うのか注目したい。

そして今年もM1おもしろかった。関わるすべての方々に心から感謝の気持ちを届けたい。以上、備忘録。

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