あらすじ 泥水溜りの中に歪み縮かまった投影は、復員後ふた月の水村宏紀を表象していた。そこには「地獄」を見つめてきた陰鬱な眼がある-。一人の復員兵が彷徨する「魂と虚無」の相克を描く。改造社1949年刊の長篇に字句修正加筆。
BOOK
あらすじ 「牛方節」「斎太郎節」「新相馬節」……。土地に生まれて根づいた唄に、人々はどんな思いを込めてきたのか。時代を経て人々に口ずさまれる中で、唄はどのような変容をとげてきたのか。詩人が、津軽三味線の二代目高橋竹山とともに、東日本大震災の直後に被災地の村々を行脚した稀有な旅の記録。
遥かな洋上にいる息子彰之へ届けられた母からの長大な手紙。そこには彼の知らぬ、瑞々しい少女が息づいていた。本郷の下宿屋に生まれ、数奇な縁により青森で三百年続く政と商の家に嫁いだ晴子の人生は、近代日本の歩みそのものであり、彰之の祖父の文弱な純粋さと旧家の淫蕩な血を相剋させながらの生もまた、余人にはない色彩を帯びている。
あらすじ 11歳の少年の故国からイギリスへと向かう3週間の船旅。それは彼らの人生を、大きく変えるものだった。仲間たちや個性豊かな同船客との交わり、従姉への淡い 恋心、そして波瀾に満ちた航海の終わりを不穏に彩る謎の事件。映画『イングリッシュ・ペイシェント』原作作家が描き出す、せつなくも美しい冒険譚。
あらすじ 農場で働く両親の元で生まれ教師となり、妻と娘を家族に持ち、病気で死んでいったある男の一生を語る一作。読み進むに連れ、表紙の臙脂色はかつてストーナーが生まれ育った農場の土と、そしてタイトルの銀色はストーナーの灰色の瞳と重なっていった。本書は隅々までが「ウィリアム・ストーナー」という男の人生に満ちている。
あらすじ ~パリで開かれた肝炎ウィルス国際会議に出席した佐伯教授は、アメリカ陸軍微生物研究所のベルナールと名乗る老紳士の訪問を受け、かつて仙台で机を並べ、その後アメリカ留学中に事故死した親友黒田が実はフランスで自殺したと告げられた。死の謎は真夏のパリから残雪のピレネー、二十数年前の仙台へと遡る。抒情と戦慄のサスペンス。
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